福岡県久留米市の久留米大学は、同市国分町にある「久留米大学医療センター」を2027年6月末で閉鎖する。これまでは同年12月末までの閉鎖を予定していたが、診療部門や患者の久留米大学病院への引き継ぎについて、6月末までに完了する見通しが立ったことから、閉鎖時期を半年ほど前倒しする。
医療センターは1994年、国立久留米病院を久留米大学が引き継いで開院した。地域の急性期医療に加え、地域包括ケアや回復期リハビリなどを担ってきたが、近年は経営環境が急速に悪化していた。
久留米大学医療センター、2027年6月末に閉鎖へ 累積赤字約140億円、本院へ医療機能を集約福岡県久留米市の久留米大学は、同市国分町にある「久留米大学医療センター」を2027年6月末で閉鎖する。これまでは同年12月末までの閉鎖を予定していたが、診療部門や患者の久留米大学病院への引き継ぎについて、6月末までに完了する見通しが立ったことから、閉鎖時期を半年ほど前倒しする。
医療センターは1994年、国立久留米病院を久留米大学が引き継いで開院した。地域の急性期医療に加え、地域包括ケアや回復期リハビリなどを担ってきたが、近年は経営環境が急速に悪化していた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 久留米大学医療センター |
| 所在地 | 福岡県久留米市国分町 |
| 閉鎖予定 | 2027年6月末 |
| 従来の予定 | 2027年12月末までに閉鎖 |
| 開院 | 1994年 |
| 病床規模 | 許可病床250床 |
| 累積赤字 | 約140億円(2025年度まで) |
| 統合先 | 久留米大学病院(久留米市旭町) |
閉鎖の最大の背景にあるのが、長期間にわたる経営赤字だ。報道によると、医療センターの2025年度までの累積赤字は約140億円に達している。
医療材料やエネルギー価格、人件費などが上昇する一方、病院の主な収入となる診療報酬だけではコスト増を十分に吸収できず、収益環境が悪化していた。
特に医療センターは、高度急性期医療だけでなく、一般急性期、地域包括ケア、回復期リハビリなど地域医療を幅広く担ってきた。こうした医療は地域に欠かせない一方、高度な手術や治療を多く扱う大学病院本院と比較すると、収益面では厳しい構造となりやすい。
久留米大学の事業報告書によると、医療センターは許可病床250床、稼働病床234床を抱えていた。2025年度には年間7万人を超える外来患者を受け入れるなど、現在も一定規模の地域医療を担っている。
一方、病院を維持するには医師や看護師などの人件費のほか、設備、医療機器、光熱費など多額の固定費が必要となる。収入が伸びないなかでコストだけが上昇し、大学側が赤字を補填し続けることも難しくなった。
久留米大学は2025年5月、医療センターの病棟機能を段階的に縮小し、久留米大学病院へ統合する方針を公表した。
その後も経営改善が見込めないことから、2026年5月には外来診療を含めた機能を久留米大学病院へ集約し、2027年12月末までに医療センターを閉鎖する方針を決定した。
さらに患者や診療部門の移行が想定より早く進められる見通しとなったことから、今回、閉鎖時期を2027年6月末へ前倒しした。
医療センターが担ってきた主要な医療機能は、久留米市旭町の久留米大学病院へ引き継がれる。
久留米大学病院は1000床を超える病床を持ち、高度救命救急やがん治療、周産期医療などを担う地域の基幹病院である。今後は医療センターの人員や医療機器などを本院へ集約し、大学全体として医療提供体制の効率化を図る。
このため、久留米大学が地域医療から撤退するわけではない。ただし、医療センターと大学病院は離れた場所にあるため、国分町周辺などから通院していた患者にとっては交通面などの負担が増える可能性がある。
全国の病院では現在、人件費や医療材料、光熱費などが上昇する一方、自由に診療価格を引き上げることができないという構造的な問題を抱えている。
一般企業であれば原材料価格が上昇すれば販売価格への転嫁を検討できるが、保険診療を中心とする病院では診療報酬が国によって定められているため、急激なコスト上昇をそのまま患者の診療価格に反映させることはできない。
久留米大学医療センターの閉鎖は、累積赤字約140億円という同センター固有の問題だけでなく、物価高、人件費上昇、診療報酬という現在の病院経営が抱える課題を象徴する事例ともいえそうだ。
約30年以上にわたり久留米市南部の医療を支えてきた医療センターは2027年6月末でその役割を終え、久留米大学の医療機能は大学病院本院へ大きく集約されることになる。
出典: 久留米大学の発表、 久留米大学「2025年度事業報告書」など