中国人民解放軍は習国家主席前任の胡錦濤総書記が解放軍への関与を極力回避したため、前々任の江沢民一国家主席派の勢力が蔓延っていた。
2012年10月、習国家主席の時代に入り、江沢民一派は抵抗勢力として邪魔者となり、奉行の一人の王岐山中央委員を使い「不正腐敗一掃」の大義を掲げさせ、江沢民一派を死刑含む粛清で一掃した。
こうしたことから、2017年10月までの習氏1期目(習国家主席/任期5年/通常2期まで)までに人民解放軍の要職者人事は習派一色となった経緯がある。
中国共産党中央軍事委員会紀律検査委員会は、党中央軍事委員会、党中央規律検査委員会の指導下にある(処分も当2委員会から発せられる)。
王岐山は党中央政治局常務委員(6位)で、党中央規律検査委員会の責任者を務めていた。
党中央軍事委員会は現在に至るまで習国家主席が主席を務め、傘下に規律検査委を要している。
習主席が2015年に鳴り物入りで陸軍第2砲兵部隊を独立させ「ロケット軍(15万人)」を創設して4軍体制としたものの、その経緯に絡みロケット部隊で大規模不正が発覚、ロケット軍の最高司令官の粛清に始まり、ロケット軍で要職者5人が粛清され、ロケット軍に一時在籍した司令官など軍全体の不正腐敗20人余りを含む25人余りが2025年までに粛清され、25年にもさらに重要な軍司令官らが粛清されている。
これは、自らの派閥から任命された軍人たちの粛清であり、軍の権力を習氏に一極集中させるため、習氏自らが軍の側近たちも粛清している見方と、あまりに自らの側近たちの粛清であり、中国共産主義青年団(共青団、故李克強首相の派閥勢力/団員数約9000万人)などによる毛沢東以来初となる3期目禁断派の巻き返しによるものとの見方がある。
北載河長老会議(長老と習氏含む政治局の交流会議/毎年夏開催)の長老たちの動きが注目されている。
習氏も王岐山氏も共青団出身だが、親や近親者が中国共産党の重鎮たちでその息子であるため「太子党」(親の七光りで立身出世/お坊ちゃま党)として区別されている。
習氏の我儘ぶりはおぼっちゃま政治の極め。
日本も似たようなお坊ちゃま首相がこれまでに乱舞している。
★新華社やロイターは2人の死刑判決を次の通り報じている。
中国人民解放軍軍事法院(裁判所)は4月7日、収賄罪などに問われた「魏鳳和元国防相」と「李尚福前国防相」に対し、執行猶予2年付きの死刑判決を言い渡した。国営の新華社が報じた。軍内部で進む厳しい粛清が改めて浮き彫りとなった。
習近平氏は最高指導者に就任した2012年以降、大規模な汚職撲滅運動を進めてきたが、軍は主要な標的の一つとなっている。23年には、核兵器と通常型ミサイルを管轄する精鋭部隊「ロケット軍」にも粛清が及んだ。
この動きは今年に入ってさらに拡大し、人民解放軍の制服組トップで政治局員、また長年習氏の盟友とみられてきた「張又侠氏」の解任に至った。
新華社のこれまでの報道によると、李前国防相は「巨額の金銭」を受け取った収賄のほか、他人に賄賂を贈った贈賄の罪に問われていた。
魏元国防相については、「巨額の金銭や財物」を賄賂として受け取り、「人事配置で他人が不当な利益を得るよう手助けした」という。
☆中国における執行猶予付き死刑判決は通常、猶予期間中に犯罪を起こさなければ無期懲役に減刑される。
以上、
20回党大会で党中央軍事委員会は習主席含む7人で構成されている。しかし、うち5人が粛清され、党中央軍事委員会傘下の規律検査委の書記でもある張昇民委員の2人だけになり、毎年開催される党会議では補充もされず、異常事態が続いている。
20回党大会(22年10月~27年10月)で党中央軍事委員会により選任された7人のメンバー
陸軍・海軍・空軍・ロケット軍の4軍を統率する中国最高の中央軍事委員会
〇主席:習近平(党総書記、国家主席)
×副主席:張又侠(上将/元総装備部部長) 、2026年1月失脚
×副主席:何衛東(陸軍上将/人民解放軍東部戦区総司令官)、2025年10月解任/習氏の福建省閥
×委員:李尚福(陸軍上将、張又侠の後任で2017年8月中央軍委裝備発展部部長就任、ロケット・衛星装備の責任者、2023年2月に国務委員および国防部部長就任、2023年10月解任/2026年4月死刑判決)
×委員:苗華(海軍上将、中央軍事委員会政治工作部主任/長年陸軍在籍で蘭州軍区政治委員) 、2025年6月解任/習氏の福建省閥
×委員:劉振立(陸軍上将、2021年7月陸軍総司令官就任、2023年3月中央軍委連合参謀部参謀長就任、2026年1月失脚)
〇委員:張昇民(海軍上将、中央軍事委員会規律検査委員会書記/現在副主席)、陸軍出身で2014年には陸軍第2砲兵隊(現、ロケット軍)政治部主任歴。2015年11月、中央軍事委員会訓練管理部の政治委員に就任。
スクロール→
↓粛清歴
表記以外にも処分された要職者がおり、最近も粛清(未掲載)されている。
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中国軍の不正腐敗 拘束、解任・失脚者
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軍の装備・調達関係で不正
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2017年7月..
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孫政才重慶党書記
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無期懲役/習氏後継者
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2017年9月.
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呉勝利前海軍司令官
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拘束
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海軍
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房峰輝統合参謀部前参謀長
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海軍
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張陽中軍委政治工作部主任
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海軍
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杜恒副主任/張陽氏の部下
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空軍
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馬暁天空軍司令官
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更迭
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房・張・馬氏は胡錦涛派とされる
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2022年10月、習国家主席 禁断の3期目突入
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2022年12月.
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肖亜慶元工業相
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解任・党追放
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副次官以上の「中管幹部」32人失脚
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2023年7月.
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秦剛外相
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不倫失脚
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履歴:外交官
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2023年9月.
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李尚福中国国防相
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中央軍事委員
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履歴:宇宙ロケット部門
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深刻な規律違反
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装備調達部門
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装備調達部門
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2024年1月
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魏鳳和元国防相
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徐忠波ロケット軍政治委員
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習主席肝いりで上昇に昇進していた
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2023/12. 9人処分↓
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周亜寧ロケット軍元司令官、上将、
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火箭軍=ロケット軍
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ロ軍
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李玉超ロ軍前司令官、上将
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ロ軍
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李伝広ロ軍副司令官、
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ロ軍
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呂宏ロ軍装備部長
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張振中連合参謀部副参謀長
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元ロケット軍副司令官
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饒文敏軍装備発展部副部長
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張育林軍装備発展部元副部長
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空軍
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丁来杭空軍前司令官
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海軍
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鞠新春南部戦区海軍司令官
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元装備発展部副部長)
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24/7.
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孫晋明ロケット陸軍元参謀長
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深刻な規律違反
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李余長ロケット部隊司令官
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深刻な規律違反
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24/11.
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苗華 海軍上将(陸軍→2014年海軍)
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中央軍事委委員
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25/3.
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何衛東 陸軍上将
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中央軍事委副主席
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25/10.
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王厚斌ロケット軍前司令官/党除名
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25/10/27、
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苗華、何衛東、王厚斌ら9人
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国防部、不正審査中発表
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26/1.
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張又侠中央軍事委副主席
/陸軍上将
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失脚/劉振立委員推薦で賄賂
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劉振立連合参謀長'(張又侠の師弟)
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中央軍事委委員
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2026/1/31.
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王祥喜応急管理相
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規律違反で調査開始
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2026/4/3.
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馬興瑞政治局員を重大な規律違反で調査中
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重大な規律違反で調査中
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調査対象
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2024/1.
政協が処分
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呉燕生中国航天科技集団会長
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資格はく奪
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王長青中国航天科工集団副社長
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資格はく奪
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劉石泉中国兵器工業集団会長
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資格はく奪
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政治局員
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新疆ウイグル自治区党委の馬興瑞書記
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(兼)航天科技の社長
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政治局員
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重慶市党委の袁家軍書記
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(兼)航天科技の副社長
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政治局員
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張国清副首相
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兵器工業の元社長
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全人代
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張慶偉(議会)副委員長
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航天科技の元社長
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全人代
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金壮龍工業情報化相
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航天科技の元副社長
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