アイコン トランプ大統領は「ベネズエラにアメリカのインフラが盗まれた」と言うのか

Posted:[ 2026年1月 9日 ]

ドナルド・トランプ

この言葉だけ聞くと、またトランプの大げさな感情論か、と思う人も多い。
でも、実はこれ、かなり“事務的な事実”をあの人なりの乱暴な言葉で要約しているだけだったりする。
かつてのベネズエラは、今のように崩壊した国家ではなかった。
1990年代まで、外国企業を普通に受け入れるごく一般的な産油国だった。
アメリカの石油会社も、正式な契約のもとで投資を行い、油田、精製施設、パイプライン、港湾などを自分たちの資金と技術で作っていた。
これは「貸したインフラ」ではない。
**投資して作った“自分たちの資産”**だった。



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ところが、ここで流れが変わる。
ウゴ・チャベスが登場する。
彼は国を急速に社会主義路線へと舵を切った。
「石油は人民のものだ」「外国企業は搾取者だ」そう語り、途中からルールを書き換えた。
外国企業の持ち分を強制的に減らし、国が過半数を持つ形に変更し、税金は一気に引き上げられた。
そして最後に突きつけられたのが、この一言だった。

この条件を飲め。
嫌なら出ていけ。
条件を拒否した企業は撤退した。
だが撤退する時、自分たちが作った施設や設備はそのまま国に残された。
補償は、ほぼ無い。

これは「投資が失敗した」という話ではない。
途中で資産を奪われたという話だ。
実際、国際仲裁裁判でもベネズエラ側は「やりすぎ」「不当」と判断されている。
だから、ドナルド・トランプが言う「盗まれた」という表現は、感情論というより、合法的に投資して作ったインフラをあとから国有化で持っていかれたという事実を、雑に、短く言っているだけだ。
皮肉なことに、奪った後のベネズエラはどうなったか。
技術者は去り、ノウハウも消え、石油大国だったはずの国は石油すらまともに生産できない国に成り果てた。
そして、そこに現れたのが中国だった。

中華人民共和国は、こう言う。
現金は貸す。技術も出す。その代わり、石油で返せ。
混乱し、追い詰められた国に入り込み、資源と引き換えに主導権を握る。
いつもの定番ムーブだ。
トランプから見た構図は、こうなる。
アメリカが作ったインフラを中国が使い、石油は中国が安く持っていく。
そりゃ、「は? なにそれ」となる。
さらに問題をややこしくしたのが、ベネズエラがフェンタニル密輸の中継地
としても指摘され続けてきたことだ。

フェンタニルはアメリカ国内で深刻な社会問題になっている。
是正を求めても、ベネズエラ政権は応じなかった。
結果として、中国・資源・麻薬が結びついた国家レベルのリスクと見なされるようになった。
つまりこれは、単なる口喧嘩でも、トランプの思いつきでもない。
経済、外交、安全保障が全部重なった案件だ。
だからこそ、アメリカにとって「放置できない問題」になった。

トランプの言葉は荒い。
だが、その背景は意外と冷静で、現実的だったりする。

JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次

 


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