アイコン アステラス社員に実刑判決、中国で広がる"人的リスク" 日本企業の「中国再編」加速も

Posted:[ 2025年7月16日 ]

中国・北京市の裁判所は7月16日、アステラス製薬の60代の日本人男性社員に対し、スパイ罪で懲役3年6月の有罪判決を言い渡した。2023年3月に帰国直前で拘束されて以来、日本政府が再三にわたって早期釈放を求めていたが、中国側は「スパイ活動に関与した」と主張。具体的な起訴内容は明らかにされず、日本メディアには判決公判も非公開だった。

この判決は、改善基調にあった日中関係に冷や水を浴びせるとともに、中国にビジネス拠点を持つ日本企業にとって、「人的リスク」という新たな懸念材料を突き付ける格好となった。

 

現地駐在員に深まる不安

有罪判決を受けた男性は、アステラス製薬の中国現地法人で幹部を務めたベテランの駐在員だった。こうしたケースは、外国人ビジネスマンにとってのリスクが、これまでのビジネス上の損失や規制リスクを超え、「身柄拘束」という重大な事態に及ぶ可能性を示している。

中国では近年、国家安全に関わる法制度が強化され、「反スパイ法」や「国家秘密保護法」の運用が広がっている。今回のような曖昧な起訴内容や非公開の審理は、日本企業の関係者にとって予測不能なリスクの象徴となりつつある。

 



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「チャイナ・プラスワン」から「中国再編」へ

日本企業の間では、これまでも中国依存のリスクを避けるため、ベトナムやインドなど他国への生産移管を進める「チャイナ・プラスワン」戦略が広がっていた。しかし今回の事件は、現地に駐在する日本人社員自身がターゲットになる可能性を強く印象づけた。

これを機に、日本企業の中国戦略は“撤退”ではなく、“再編”の方向へとシフトする可能性が高い。たとえば、現地法人の経営権を中国側パートナーに委ねたり、出張や滞在を最小限に抑えるなど、人的関与を極力減らす「リスク分散型の関与」へと転換が進むとみられる。

 

経済活動と政治の境界が揺らぐ時代

今回の判決は、経済活動と政治の関係が切り離せない現実を浮き彫りにした。外交的な改善が進んでいるように見える一方で、企業活動に対しても中国当局の安全保障的視点が色濃く反映されていることが改めて示された。

日本政府は引き続き、中国側に対して適切な対応と透明性の確保を求めていく方針だが、企業としては自衛手段の強化が不可欠だ。経済安全保障が問われる時代において、グローバル展開を進める企業は、政治リスクをいかに“読み解く”かが生き残りの鍵となる。

 

 


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